なおぼんの昔話

省線の鉄道が通るとかで、この片田舎の温泉地も賑わいを見せ始めていた。※省線とは鉄道省管轄の、いわば国鉄の原型である。百合根温泉郷は、三十軒ほどの旅館や木賃宿、湯治場が狭い谷間にひしめいている。その谷に、鉄橋が掛かり、隧道(トンネル)が穿たれ、汽車が走ると…